昼はカフェ、夜はバー。この「二毛作経営」は、同じ店舗で2つの売上を作る効率的なビジネスモデルです。カフェ単体では難しい夜の売上を、バー営業で補完できます。
この記事では、カフェ&バーの二毛作経営について、必要な許可から運営方法まで解説します。
二毛作経営のメリット
売上機会の最大化
カフェは夕方以降、客足が落ちる傾向にあります。この時間帯をバー営業に切り替えることで、売上機会を最大化できます。
二毛作経営のメリット:
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 売上増加 | 夜の時間帯で新たな売上 |
| 固定費の分散 | 家賃を昼夜で活用 |
| 客層の拡大 | カフェ客+バー客 |
| 相乗効果 | 昼のお客様が夜も来店 |
| リスク分散 | 2つの業態で経営安定 |
同じ空間で2つのビジネスを行うため、家賃や設備費の効率が良いのが特徴です。
向いている立地
二毛作経営が成功しやすい立地:
| 立地 | 理由 |
|---|---|
| オフィス街 | 昼はビジネスランチ、夜は仕事帰り |
| 繁華街 | 昼夜ともに人通りがある |
| 住宅街の駅近く | 帰宅途中に立ち寄れる |
| 大学周辺 | 学生の昼カフェ、夜飲み需要 |
逆に、夜間の人通りが極端に少ない住宅街では、バー需要が見込めない場合があります。
必要な許可と届出
深夜酒類提供飲食店営業届
深夜0時以降にアルコールを提供する場合、警察署への届出が必要です。
届出の条件:
- 深夜0時以降にアルコールを主として提供
- 客席面積など一定の基準を満たす
- 風営法に抵触しない営業内容
届出先:所轄警察署
注意: この届出は「許可」ではなく「届出」なので、受理されれば営業可能です。ただし、用途地域によっては深夜営業が禁止されている場合があります。
飲食店営業許可
カフェ営業で取得済みの飲食店営業許可で、バー営業もカバーできます。追加の許可は不要ですが、以下の場合は確認が必要です。
確認が必要なケース:
- 調理内容が大きく変わる場合
- 設備を変更する場合
事前に保健所に相談しておくと安心です。
用途地域の確認
店舗の所在地が、夜間営業に適した用途地域かどうか確認しましょう。
深夜営業が難しい用途地域:
- 第一種・第二種低層住居専用地域
- 第一種・第二種中高層住居専用地域
物件契約前に、不動産会社や行政に確認することをおすすめします。
営業時間の切り替え
切り替え時間の設定
カフェからバーへの切り替え時間は、立地と客層によって決めます。
切り替え時間の例:
| パターン | カフェ | バー | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 早め切り替え | 7:00〜17:00 | 18:00〜24:00 | 仕事帰り需要を狙う |
| 遅め切り替え | 7:00〜19:00 | 20:00〜翌2:00 | 二次会需要も |
| 重複あり | 7:00〜21:00 | 18:00〜24:00 | 両方の客を受け入れ |
18時〜20時は「カフェ利用もバー利用もOK」という重複時間を設けると、両方の客層に対応できます。
雰囲気の切り替え
同じ空間でも、照明や音楽を変えることで雰囲気を切り替えられます。
切り替えポイント:
| 要素 | カフェ | バー |
|---|---|---|
| 照明 | 明るめ、自然光 | 暗め、間接照明 |
| 音楽 | ジャズ、ボサノバ | ジャズ、ローファイ |
| テーブルセッティング | カップ、メニュー | キャンドル、コースター |
| 店内装飾 | 明るい雰囲気 | 落ち着いた雰囲気 |
照明の調光機能があると、スムーズに切り替えられます。
バーメニューの設計
ドリンクメニュー
カフェの設備を活かしつつ、バー向けのドリンクを追加します。
バーメニューの構成例:
| カテゴリ | メニュー例 |
|---|---|
| ビール | クラフトビール、輸入ビール |
| ワイン | グラスワイン(赤・白・スパークリング) |
| カクテル | ジントニック、モヒート、ウイスキーソーダ |
| ウイスキー | シングルモルト、バーボン |
| ノンアル | モクテル、ノンアルビール |
| コーヒーカクテル | エスプレッソマティーニ、アイリッシュコーヒー |
カフェの強みを活かした「コーヒーカクテル」は、差別化ポイントになります。
フードメニュー
軽いおつまみを中心に構成します。
バーフードの例:
- ナッツ・オリーブ
- チーズ盛り合わせ
- 生ハム
- ブルスケッタ
- フライドポテト
カフェで提供しているスイーツも、お酒に合うものは夜も提供できます(チョコレート系など)。
価格設定
バーの価格設定は、カフェより高めでも問題ありません。
価格帯の目安:
| メニュー | 価格帯 |
|---|---|
| ビール | 600〜900円 |
| グラスワイン | 600〜1,000円 |
| カクテル | 700〜1,200円 |
| ウイスキー | 800〜1,500円 |
| おつまみ | 400〜800円 |
夜の客単価1,500〜2,500円を目安に設定しましょう。
運営のポイント
スタッフ体制
昼と夜で、スタッフ体制を検討します。
スタッフ体制のパターン:
- 同一スタッフ: シフトを通しで入れる
- 分割シフト: 昼専門、夜専門に分ける
- オーナー対応: 夜はオーナーがワンオペ
小規模店舗では、オーナーが夜のバー営業を担当するケースも多いです。
在庫管理
カフェとバーで在庫を分けて管理しましょう。
在庫管理のポイント:
- アルコール類は別の棚で管理
- 仕入れルートも別になることが多い
- 開栓後のワインの管理
- 生ビールの回転(鮮度管理)
ワインはボトルで売れない場合の廃棄リスクも考慮しましょう。
トラブル対策
バー営業では、カフェにはないトラブルリスクがあります。
対策が必要なトラブル:
- 酔客の対応(適度な量で止める)
- 騒音(近隣への配慮)
- 喫煙(分煙・禁煙のルール)
- 終電後の対応
深夜営業は、近隣トラブルに特に注意が必要です。
集客と告知
二毛作の告知
「昼はカフェ、夜はバー」ということを知ってもらう必要があります。
告知のポイント:
- 店頭看板に両方の営業時間を表示
- SNSで昼・夜の両方を発信
- Googleビジネスプロフィールに両方を設定
- メニュー表にバータイムの案内
「このカフェ、夜も開いてるんだ」と気づいてもらうことが大切です。
相乗効果の創出
カフェ客をバー客に、バー客をカフェ客にする施策:
| 施策 | 内容 |
|---|---|
| カード配布 | 「夜もお待ちしています」のカード |
| SNS連動 | 昼の投稿に夜のメニューも |
| ポイント共通 | 昼夜共通のスタンプカード |
| イベント | 昼のワークショップ→夜の懇親会 |
両方の客層を相互に送客することで、全体の売上が上がります。
収益シミュレーション
売上の目安
二毛作経営の売上シミュレーション例:
| 時間帯 | 客数 | 客単価 | 日売上 |
|---|---|---|---|
| カフェ(7〜17時) | 40人 | 800円 | 32,000円 |
| バー(18〜24時) | 15人 | 2,000円 | 30,000円 |
| 合計 | 55人 | - | 62,000円 |
カフェ単体では月商100万円程度だったものが、バー営業を加えることで月商180万円以上になる可能性があります。
追加コストの考慮
バー営業を始めるための追加コスト:
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 届出費用 | 数千円 |
| アルコール初期仕入れ | 10〜30万円 |
| グラス類 | 5〜10万円 |
| 照明調整 | 1〜5万円 |
| 人件費増加 | 月5〜15万円 |
初期投資は比較的少なく始められるのがメリットです。
まとめ
カフェ&バーの二毛作経営は、同じ空間で売上を最大化する効率的なビジネスモデルです。
成功のポイントを振り返りましょう。
- 深夜営業には届出が必要(用途地域も確認)
- 照明・音楽で昼夜の雰囲気を切り替える
- コーヒーカクテルなどカフェの強みを活かす
- 在庫管理は昼夜で分けて行う
- 酔客対応、近隣配慮などトラブル対策を
- 昼夜の相互送客で相乗効果を狙う
まずは週末だけバー営業を試してみて、需要を確認してから本格展開するアプローチもおすすめです。
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