居酒屋は、日本の飲食業界で最も人気のある業態の一つです。しかし、開業には多くの準備と知識が必要です。
この記事では、居酒屋の開業について、物件選びから営業許可取得まで、必要なすべてのステップを詳しく解説します。
居酒屋開業の全体像
開業までのステップ
居酒屋開業の流れ:
| ステップ | 期間目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 1. コンセプト設計 | 1〜2ヶ月 | 業態、ターゲット、メニュー方針 |
| 2. 事業計画作成 | 1ヶ月 | 収支計画、資金調達 |
| 3. 物件探し | 1〜3ヶ月 | 立地選定、契約 |
| 4. 内装・設備工事 | 1〜2ヶ月 | 設計、施工 |
| 5. 許可申請 | 2週間〜1ヶ月 | 保健所、消防署、警察署 |
| 6. 採用・研修 | 1ヶ月 | スタッフ採用、トレーニング |
| 7. プレオープン | 1〜2週間 | テスト営業、調整 |
| 8. グランドオープン | - | 本営業開始 |
開業まで6〜9ヶ月程度を見込みましょう。
居酒屋の業態タイプ
居酒屋には様々なタイプがあります:
| タイプ | 客単価 | 特徴 | ターゲット |
|---|---|---|---|
| 大衆居酒屋 | 2,000〜3,000円 | 安い、気軽、大人数 | サラリーマン、学生 |
| 創作居酒屋 | 3,500〜5,000円 | こだわり料理、雰囲気 | 30〜40代 |
| 和食居酒屋 | 4,000〜6,000円 | 日本酒、季節料理 | 接待、大人 |
| 焼き鳥居酒屋 | 3,000〜4,500円 | 専門性、カウンター | 幅広い |
| 海鮮居酒屋 | 4,000〜6,000円 | 鮮度、産地直送 | 海鮮好き |
自分の強みとターゲットに合わせて業態を決めましょう。
物件選びのポイント
立地の選定基準
居酒屋に適した立地:
| 立地タイプ | メリット | デメリット | 家賃目安 |
|---|---|---|---|
| 駅前繁華街 | 集客力抜群 | 家賃高い、競合多い | 坪3〜5万円 |
| 駅から徒歩5分 | バランス良い | 認知に時間 | 坪2〜3万円 |
| オフィス街 | 平日安定 | 土日閑散 | 坪2.5〜4万円 |
| 住宅街 | 地域密着、常連化 | 集客に時間 | 坪1.5〜2.5万円 |
| 路地裏 | 家賃安い、隠れ家感 | 認知が難しい | 坪1〜2万円 |
初めての開業なら、駅から徒歩5分以内の物件がおすすめです。
物件の確認ポイント
物件を見る際のチェックリスト:
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 広さ | 厨房20〜30%、客席70〜80% |
| 天井高 | 2.4m以上(圧迫感軽減) |
| 電気容量 | 飲食店は50〜100A必要 |
| ガス | 都市ガス or プロパン |
| 給排水 | 厨房位置の自由度 |
| 換気・排煙 | ダクト設置可否 |
| 防音 | 近隣への配慮 |
| 契約条件 | 保証金、解約条件 |
居抜き物件なら、既存設備の状態も確認しましょう。
居抜き vs スケルトン
居抜き物件とスケルトン物件の比較:
| 項目 | 居抜き | スケルトン |
|---|---|---|
| 内装費用 | 200〜500万円 | 500〜1,500万円 |
| 工事期間 | 2週間〜1ヶ月 | 1〜2ヶ月 |
| 自由度 | 低い(既存活用) | 高い(自由設計) |
| リスク | 設備の老朽化 | 初期費用の高さ |
| おすすめ | 初めての開業 | 2店舗目以降 |
初めての開業には、居抜き物件の活用をおすすめします。
内装・設備工事
内装工事の内訳
居酒屋の内装工事費用目安(20坪の場合):
| 項目 | 費用目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 設計費 | 30〜60万円 | デザイン、図面作成 |
| 解体工事 | 20〜50万円 | 既存内装の撤去 |
| 電気工事 | 50〜100万円 | 配線、照明 |
| 給排水工事 | 50〜100万円 | 厨房、トイレ |
| 空調・換気 | 80〜150万円 | エアコン、ダクト |
| 内装仕上げ | 100〜300万円 | 壁、床、天井 |
| 家具・什器 | 50〜150万円 | テーブル、椅子、カウンター |
| 合計 | 380〜910万円 |
居抜きなら、このうち一部を省略できます。
厨房設備
居酒屋に必要な厨房設備:
| 設備 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 業務用冷蔵庫 | 30〜80万円 | 容量は売上に応じて |
| 業務用コンロ | 15〜40万円 | 3〜5口 |
| フライヤー | 15〜40万円 | 揚げ物用 |
| 焼き台 | 10〜30万円 | 焼き物用 |
| 製氷機 | 15〜30万円 | 必須 |
| 食器洗浄機 | 30〜80万円 | 効率化に必須 |
| シンク | 10〜20万円 | 2槽以上必要 |
| 作業台 | 5〜15万円 | ステンレス製 |
中古品を活用すれば、設備費用を30〜50%削減できます。
営業許可と届出
必要な許可・届出一覧
居酒屋開業に必要な許可:
| 許可・届出 | 申請先 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 保健所 | 必須の基本許可 | 1.6〜1.9万円 |
| 食品衛生責任者 | 保健所 | 資格取得(講習) | 1万円程度 |
| 防火管理者 | 消防署 | 収容人数30名以上 | 講習費用 |
| 深夜酒類提供飲食店営業届 | 警察署 | 深夜0時以降営業 | 届出のみ |
深夜営業をする場合は、警察署への届出が必要です。
保健所検査のポイント
保健所の検査で確認される項目:
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 手洗い設備 | 厨房内に専用の手洗い |
| シンク | 2槽以上 |
| 換気設備 | 十分な換気能力 |
| 床・壁 | 清掃しやすい素材 |
| 冷蔵庫 | 温度管理できる設備 |
| 防虫・防鼠 | 網戸、隙間対策 |
工事前に保健所に図面を持参し、事前相談することをおすすめします。
深夜営業届出の注意点
深夜酒類提供飲食店営業届出の条件:
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 深夜0時以降に酒類を提供 |
| 届出先 | 所轄警察署 |
| 届出時期 | 営業開始10日前まで |
| 禁止エリア | 住居専用地域では不可 |
| 制限 | 風営法の規制に注意 |
用途地域によっては深夜営業ができない場所があります。物件選びの段階で確認しましょう。
資金計画
開業資金の目安
居酒屋の開業資金(20坪・30席の場合):
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 物件取得費 | 150〜400万円 |
| 内装工事費 | 300〜800万円 |
| 厨房設備 | 200〜400万円 |
| 備品・什器 | 50〜150万円 |
| 広告宣伝費 | 30〜80万円 |
| 運転資金 | 200〜400万円 |
| 合計 | 930〜2,230万円 |
居抜き物件を活用すれば、800万円程度での開業も可能です。
資金調達の方法
開業資金の調達方法:
| 方法 | 金額目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自己資金 | - | 最低3割は必要 |
| 日本政策金融公庫 | 〜3,000万円 | 新規開業に積極的 |
| 銀行融資 | 〜5,000万円 | 担保・保証人必要 |
| 親族からの借入 | - | 契約書を交わす |
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、担保・保証人なしで借りられるため、おすすめです。
収支シミュレーション
月間収支の目安
居酒屋の月間収支例(20坪・30席):
| 項目 | 金額 | 比率 |
|---|---|---|
| 売上 | 300万円 | 100% |
| 原価 | 90万円 | 30% |
| 人件費 | 90万円 | 30% |
| 家賃 | 30万円 | 10% |
| 水道光熱費 | 15万円 | 5% |
| その他経費 | 30万円 | 10% |
| 営業利益 | 45万円 | 15% |
FL比率(原価+人件費)は60%以内が目標です。
損益分岐点の計算
損益分岐点を把握しましょう:
損益分岐点売上 = 固定費 ÷ (1 - 変動費率)
例:固定費75万円、変動費率30%の場合
75万円 ÷ (1 - 0.3) = 約107万円
月商107万円以上で黒字、という計算になります。
まとめ
居酒屋開業は、多くの準備と資金が必要ですが、しっかり計画すれば成功できます。
成功のポイントを振り返りましょう。
- 開業まで6〜9ヶ月を見込む
- 物件は立地と条件のバランスで選ぶ
- 居抜き物件で初期費用を抑える
- 許可・届出は早めに準備
- 開業資金は800〜2,000万円が目安
- FL比率60%以内を維持
「また来たい」と思われる居酒屋を目指しましょう。
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