「求人を出しても応募が来ない」「せっかく採用してもすぐ辞めてしまう」と悩んでいませんか。
飲食業界は慢性的な人手不足が続いています。この記事では、人手不足の原因を整理した上で、採用力を高める方法と定着率を改善する施策を紹介します。
飲食店が人手不足に陥る原因
業界構造の問題
飲食業界は、他業界と比較して人手不足が深刻な業界です。
| 要因 | 具体例 |
|---|---|
| 労働時間が長い | ランチ〜ディナーの通し勤務、深夜営業 |
| 土日祝日の勤務が多い | 繁忙期は休みが取りにくい |
| 給与水準が低い傾向 | 他業界と比べて時給・月給が低い |
| 体力が必要 | 立ち仕事、重い食材の運搬 |
これらの要因により、他業界への人材流出が起こりやすい状況にあります。
店舗側の問題
一方で、店舗側に改善の余地があるケースも多くあります。
- 求人票がわかりにくい: 仕事内容や条件が不明確
- 採用チャネルが限られている: 1〜2媒体にしか出していない
- 応募者対応が遅い: 問い合わせに数日後に返信
- 職場環境の問題: 人間関係、教育体制の不備
- キャリアパスが見えない: 成長の機会がない
これらは、店舗の努力で改善できる領域です。
採用力を高める5つの方法
1. 求人票の書き方を見直す
求人票は、応募者が「この店で働きたい」と思うかどうかを左右する重要な接点です。
NG例: 「ホールスタッフ募集。時給1,100円〜。やる気のある方歓迎」
OK例: 「駅前のカジュアルイタリアン。まかない無料/週2日〜OK/シフト柔軟対応。ワインの知識も身につきます」
改善ポイント:
| 項目 | 具体的に書くべきこと |
|---|---|
| 仕事内容 | 「接客、料理の提供、簡単な調理補助」など具体的に |
| 勤務時間 | 「17:00〜22:00の間で4時間〜」など幅を持たせる |
| 給与 | 「時給1,100円〜(試用期間中1,050円)」と条件を明示 |
| メリット | まかない、交通費、スキルアップなど |
| 雰囲気 | スタッフの年齢層、人数、店の特徴 |
2. 複数の採用チャネルを活用する
1つの媒体だけでは、リーチできる層が限られます。
主な採用チャネル:
| チャネル | 特徴 | 費用 |
|---|---|---|
| Indeed | 検索型、幅広い層 | 無料〜クリック課金 |
| タウンワーク | 地域密着、主婦層に強い | 有料 |
| バイトル | 若年層に強い | 有料 |
| Googleビジネスプロフィール | 無料で求人投稿可能 | 無料 |
| 若年層、店の雰囲気を伝えやすい | 無料 | |
| 店頭ポスター | 近隣住民、常連客 | ほぼ無料 |
| 紹介 | 既存スタッフからの紹介 | 紹介料のみ |
特に紹介採用は、定着率が高い傾向があります。既存スタッフからの紹介者には紹介料(数千円〜1万円程度)を支払う仕組みを作りましょう。
3. 応募者対応のスピードを上げる
応募から連絡までの時間が長いと、他の求人に流れてしまいます。
目標: 応募から24時間以内に連絡
改善策:
- スマートフォンで応募通知を受け取る設定に
- 連絡用のテンプレートを用意しておく
- 面接日程は複数候補を提示する
4. 面接で「選ばれる」意識を持つ
面接は、店側が選ぶだけでなく、応募者に選ばれる場でもあります。
面接での工夫:
- 実際の職場を見せる(バックヤード、厨房など)
- 既存スタッフを紹介する
- 質問しやすい雰囲気を作る
- 店の強みや働くメリットを伝える
「この店で働きたい」と思ってもらえるような面接を心がけましょう。
5. SNSで職場の雰囲気を発信する
特に若年層は、求人に応募する前にSNSで店の雰囲気をチェックします。
発信内容の例:
- スタッフの日常
- まかないの紹介
- 仕事風景
- イベントの様子
「楽しそうに働いている」「雰囲気が良さそう」という印象を与えることで、応募につながります。
定着率を改善する7つの施策
採用できても、すぐ辞めてしまっては意味がありません。定着率を高める施策を紹介します。
1. 入社後のオンボーディングを整える
最初の1ヶ月で辞めてしまうケースが多い原因は、オンボーディング(受け入れ体制)の不備です。
最低限整えるべきこと:
- 初日の流れを事前に伝える
- 教育担当者を明確にする
- マニュアルを用意する(紙でもスマホ閲覧でもOK)
- 最初の1週間は毎日フィードバック
「放置された」と感じさせないことが大切です。
2. シフトの柔軟性を高める
飲食店を辞める理由の上位に「シフトの融通が利かない」があります。
工夫の例:
- 希望シフト制を導入
- 急な休みに対応できるヘルプ体制
- 学生のテスト期間を考慮
- 掛け持ちOKを明示
「自分の生活に合わせて働ける」と感じてもらえることが重要です。
3. 時給以外のメリットを充実させる
時給だけで競争すると、他店に負けてしまいます。時給以外の魅力を充実させましょう。
| メリット | 具体例 |
|---|---|
| まかない | 無料または格安、持ち帰りOK |
| 交通費 | 全額または一部支給 |
| スキルアップ | 調理技術、ワイン知識、接客スキル |
| 割引 | 友人・家族の飲食割引 |
| 社販 | お酒や食材の社員価格販売 |
4. 人間関係を良好に保つ
「人間関係が悪い」は、離職理由の上位に常にランクインします。
店長・オーナーがすべきこと:
- スタッフ全員とコミュニケーションを取る
- 特定の人に業務が偏らないよう配慮
- トラブルの兆候を早めにキャッチ
- スタッフ同士が交流できる機会を作る
5. 正当な評価とフィードバック
頑張っても評価されないと感じると、モチベーションが下がります。
評価の仕組み:
- 定期的な面談(月1回程度)
- 具体的なフィードバック
- 昇給・昇格の基準を明確に
- 良い行動は即座に褒める
6. キャリアパスを示す
「ここで働いても将来がない」と感じると、他に移ってしまいます。
示せるキャリアパスの例:
- アルバイト → 社員登用
- ホール → キッチン(または逆)
- スタッフ → バイトリーダー → 店長候補
- 独立支援制度
7. 退職者の声を聞く
辞めるスタッフがいたら、必ず退職理由を聞きましょう。
聞くべきこと:
- 辞める本当の理由
- 改善してほしかった点
- 良かった点
退職者の声は、職場改善の貴重なヒントになります。
人手不足でも売上を維持する工夫
人手が足りない状況でも、以下の工夫で売上を維持できます。
オペレーションの効率化
- モバイルオーダーの導入
- セルフレジの活用
- メニュー数の絞り込み
- 仕込みの効率化
営業時間・日数の見直し
無理に長時間営業するよりも、営業時間を絞って質を高めるほうが良い場合もあります。
- ランチ営業を休止してディナーに集中
- 定休日を設ける
- 繁忙曜日に人員を集中
予約・来店の平準化
混雑時間に人を増やすのではなく、閑散時間に来店を促す発想も有効です。
- ハッピーアワーの設定
- 早い時間帯の割引
- 予約限定メニュー
紹介採用を強化する
採用チャネルの中でも、既存スタッフからの紹介は定着率が高く、おすすめの方法です。
紹介採用を増やすポイント:
- 紹介料を明確に設定する(例: 1万円)
- 紹介しやすいツールを用意する(LINE、紹介カードなど)
- 紹介してくれたスタッフを評価する
スタッフだけでなく、常連のお客様からの紹介も有効です。「いいスタッフを探している」ことを伝えておくと、知り合いを紹介してもらえることがあります。
オクリテのような送客計測ツールを活用すれば、紹介元の把握と効果測定を自動化でき、紹介採用の仕組みをより効率的に運用できます。
まとめ
飲食店の人手不足を解決するには、採用力の強化と定着率の改善の両方が必要です。
採用力を高める方法:
- 求人票の書き方を見直す
- 複数の採用チャネルを活用
- 応募者対応のスピードを上げる
- 面接で「選ばれる」意識を持つ
- SNSで職場の雰囲気を発信
定着率を改善する施策:
- 入社後のオンボーディングを整える
- シフトの柔軟性を高める
- 時給以外のメリットを充実
- 人間関係を良好に保つ
- 正当な評価とフィードバック
- キャリアパスを示す
- 退職者の声を聞く
すべてを一度に改善するのは難しいので、自店で特に課題になっている項目から取り組んでみてください。
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