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記事 #最低賃金 #給与 #賃金

最低賃金と給与設計|店舗経営者のための賃金ガイド

最低賃金制度と店舗スタッフの給与設計を解説。地域別最低賃金、時給・日給・月給の計算方法、給与体系の作り方を紹介します。

5分で読める
オクリテ編集部

最低賃金とは

最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額です。最低賃金法により定められ、違反には罰則があります。

パート・アルバイト、正社員、契約社員など、全ての労働者に適用されます。


最低賃金の種類

地域別最低賃金

都道府県ごとに定められる最低賃金です。全ての労働者に適用されます。

毎年10月頃に改定
├ 中央最低賃金審議会の答申
├ 各都道府県の審議会で決定
└ 10月1日前後に発効

特定最低賃金

特定の産業に適用される最低賃金です。地域別より高く設定されることがあります。

内容
鉄鋼業特定の製造業
電子部品製造業精密機器など

店舗ビジネスでは通常、地域別最低賃金のみを意識すれば問題ありません。


地域別最低賃金(参考)

最低賃金は毎年改定されます。最新の金額は厚生労働省のサイトで確認してください。

地域目安水準
東京・神奈川高水準
大阪・愛知中〜高水準
その他大都市圏中水準
地方基準水準

確認方法

  • 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
  • 各都道府県労働局のサイト

最低賃金の計算方法

時給制の場合

時給 ≧ 最低賃金

例: 東京で働くアルバイト
時給1,100円 ≧ 最低賃金(約1,100円〜)
→ ギリギリでも違法ではない

日給制の場合

日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金

例: 日給9,000円、1日8時間勤務
9,000円 ÷ 8時間 = 1,125円
→ 最低賃金以上ならOK

月給制の場合

月給 ÷ 月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金

月平均所定労働時間の計算
(365日 - 年間休日) × 1日の所定労働時間 ÷ 12ヶ月

例:
年間休日120日、1日8時間勤務
(365 - 120) × 8 ÷ 12 = 163.3時間

月給18万円の場合
180,000円 ÷ 163.3時間 = 1,102円
→ 最低賃金と比較

最低賃金に含まれない賃金

含まれない理由
精皆勤手当出勤に対する報酬
通勤手当実費弁償的性格
家族手当労働と直接関係ない
時間外・休日・深夜手当割増賃金
臨時の賃金(賞与など)臨時的なもの

つまり: 基本給と固定手当のみで計算します。


最低賃金改定への対応

改定スケジュール

7月末〜8月    中央審議会の答申(目安提示)
8月〜9月      各都道府県審議会で決定
10月1日前後   発効(地域により異なる)

経営者がすべきこと

8月: 改定額の確認
     └ 自店舗の都道府県の新最低賃金

9月: 影響の確認
     └ 現在の時給が最低賃金を下回らないか

10月: 賃金の改定
     └ 該当者の時給アップ

周知: スタッフへの説明
     └ 最低賃金改定に伴う変更

予算への影響

計算例: 時給が30円アップした場合

スタッフ数: 5人
平均月間労働時間: 80時間/人
月間増加額: 30円 × 80時間 × 5人 = 12,000円/月
年間増加額: 144,000円

給与体系の設計

時給制

アルバイト・パートで一般的な給与形態です。

メリットデメリット
計算が簡単収入が不安定(本人視点)
繁閑に応じた調整可シフト調整が必要
人件費変動費化

時給設定の考え方

最低賃金 + α = 設定時給

αの要素
├ 地域の相場(近隣店舗の時給)
├ 職種の難易度
├ 採用難易度
└ 自店の人件費予算

日給制

特定の業種(イベントスタッフなど)で使われます。

メリットデメリット
1日単位で計算しやすい労働時間が長いと割安に
短期バイトに適する

月給制

正社員・契約社員で一般的な給与形態です。

メリットデメリット
収入が安定固定費として重い
長期雇用に適する繁閑に応じた調整が難しい
帰属意識向上

月給の構成例

月給 = 基本給 + 諸手当

基本給: 180,000円
役職手当: 20,000円
資格手当: 5,000円
─────────────────
月給: 205,000円

手当の設計

よくある手当

手当内容目安
通勤手当交通費の実費支給上限1.5〜3万円/月
役職手当店長、リーダーなど1〜5万円/月
資格手当業務に必要な資格3,000〜1万円/月
皆勤手当欠勤なしの場合5,000〜1万円/月
早朝・深夜手当特定時間帯の勤務時給+100〜300円

手当設計のポイント

1. 目的を明確に
   └ 何に対する手当か

2. 支給条件を明確に
   └ いつ、誰に、いくら

3. 金額の根拠
   └ なぜその金額か

4. 変更・廃止のルール
   └ 見直しの基準

昇給の設計

昇給の種類

種類内容
定期昇給毎年決まった時期に昇給
ベースアップ賃金表全体の引き上げ
昇格昇給役職・等級が上がった時
成果昇給評価に基づく昇給

時給アップの基準例

【アルバイトの昇給基準】

入社時: 1,100円
3ヶ月後(研修終了): 1,150円
1年後: 1,200円
2年後: 1,250円
リーダー昇格: 1,350円

昇給テーブルの作り方

【正社員の等級・給与テーブル例】

等級  役職          月給範囲
───────────────────────────────
S1    一般(1年目)  20〜22万円
S2    一般(2-3年目)22〜25万円
S3    副店長        25〜28万円
S4    店長          28〜32万円
S5    エリアマネージャー 32〜38万円

賞与(ボーナス)の設計

賞与の法的位置づけ

賞与は法律上の義務ではありません。支給するかどうかは会社の自由です。

ただし

  • 就業規則や雇用契約で定めた場合は支払い義務あり
  • 「業績による」等の条件付きも可能

賞与の計算方法

方式1: 月給連動型
賞与 = 基本給 × ○ヶ月

例: 基本給20万円 × 2ヶ月 = 40万円


方式2: 業績連動型
賞与 = 基準額 × 業績係数 × 個人評価係数

例: 20万円 × 1.2(業績好調)× 1.1(評価A)= 26.4万円


方式3: 利益配分型
賞与原資 = 営業利益 × ○%
個人賞与 = 原資 × 個人貢献度

店舗ビジネスでの賞与例

小規模店舗(スタッフ5人以下)
└ 賞与なし、または寸志程度が多い

中規模店舗(スタッフ10人前後)
└ 年2回、計1〜2ヶ月分程度

チェーン店
└ 年2回、計2〜4ヶ月分程度

給与計算の実務

給与計算のステップ

1. 労働時間の集計
   └ 所定内、残業、深夜、休日

2. 総支給額の計算
   └ 基本給 + 各種手当 + 残業代

3. 控除額の計算
   └ 社会保険料、所得税、住民税

4. 差引支給額
   └ 総支給額 - 控除額 = 手取り

給与明細の項目

【支給】
基本給           200,000円
役職手当          20,000円
通勤手当          15,000円
時間外手当        32,500円
─────────────────────────
総支給額         267,500円

【控除】
健康保険料        13,000円
厚生年金保険料    25,000円
雇用保険料         1,600円
所得税             6,500円
住民税            12,000円
─────────────────────────
控除計            58,100円

【差引支給額】    209,400円

給与トラブルの防止

よくあるトラブル

トラブル原因対策
最低賃金未満改定の確認漏れ毎年10月に確認
残業代未払い計算ミス、サービス残業労働時間を正確に把握
手当の認識違い条件の説明不足雇用契約書に明記
給与遅配資金繰り計画的な資金管理

防止策

1. 雇用契約書に詳細を記載
   └ 基本給、手当、賞与、昇給の条件

2. 給与計算のダブルチェック
   └ 別の担当者が確認

3. 毎年の最低賃金チェック
   └ 10月にルーティン化

4. 労働時間の正確な記録
   └ タイムカード、勤怠システム

同一労働同一賃金への対応

法律の要点

正社員とパート・有期雇用者の間で、不合理な待遇差を設けることが禁止されています。

待遇差が認められるケース
├ 職務内容が異なる
├ 配置変更の範囲が異なる
└ その他の事情がある

待遇差が認められないケース
├ 同じ仕事をしているのに基本給が違う
├ 通勤手当を正社員のみに支給
└ 食事手当を正社員のみに支給

店舗での対応

項目対応例
通勤手当正社員・パート同額支給
慶弔休暇勤続年数に応じて付与
制服全員に貸与
研修全員に機会提供

まとめ

最低賃金と給与設計は、店舗経営の基盤となる重要事項です。

重要ポイント

  1. 最低賃金の確認: 毎年10月に必ずチェック
  2. 計算方法を理解: 月給も時給換算で確認
  3. 給与体系の設計: 時給制、月給制の特徴を理解
  4. 手当の明確化: 支給条件を雇用契約書に明記
  5. 昇給基準の設定: スタッフのモチベーション向上
  6. 同一労働同一賃金: 不合理な待遇差をなくす

適切な給与設計で、良い人材の採用と定着を実現しましょう。

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