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記事 #美容室経営 #損益分岐点 #経営数字

美容室の損益分岐点計算|必要な売上と客数

美容室の損益分岐点の計算方法を解説。固定費・変動費の把握から必要売上・客数の算出まで、経営に必要な数字の考え方を紹介します。

5分で読める
オクリテ編集部

「毎月どれくらい売り上げれば利益が出るのかわからない」「赤字と黒字の境目はどこなのか」そんな疑問を持ったことはありませんか。損益分岐点を理解することで、経営の「最低ライン」が明確になり、目標設定や意思決定の精度が上がります。

結論から言えば、損益分岐点を算出するには「固定費の把握」「変動費率の計算」「売上・客数への変換」の3ステップが必要です。この記事では、美容室の損益分岐点の計算方法と活用法を解説します。

損益分岐点とは

損益分岐点の定義

損益分岐点(BEP: Break Even Point)とは、売上と費用がちょうど同じになる点のことです。

売上 = 費用(固定費 + 変動費)
利益 = 0

損益分岐点を超えれば利益が出て、下回れば赤字になります。

なぜ損益分岐点を知る必要があるか

損益分岐点を把握するメリットは以下の通りです。

メリット内容
最低目標の明確化「これだけは売らないと赤字」がわかる
経営判断の材料採用、設備投資の判断基準に
リスク把握どれくらい余裕があるかわかる
価格設定の根拠利益が出る価格を計算できる

固定費と変動費を理解する

固定費とは

固定費は、売上に関わらず一定額かかる費用です。

美容室の主な固定費:

項目内容金額例
家賃テナント賃料20万円
人件費(固定部分)基本給、社会保険料60万円
水道光熱費(基本料)基本料金部分3万円
通信費電話、インターネット2万円
リース料機器のリース3万円
広告費(固定分)月額固定の広告5万円
その他固定費保険、会費など2万円
固定費合計95万円

変動費とは

変動費は、売上に比例して増減する費用です。

美容室の主な変動費:

項目内容売上に対する比率
材料費カラー剤、パーマ剤など約10%
人件費(変動部分)歩合給、残業代約5〜15%
広告費(成果報酬)予約手数料など約2〜5%
消耗品費タオル、ペーパーなど約2%
水道光熱費(従量)使用量に応じた部分約2%

変動費率の計算:

変動費率 = 変動費合計 ÷ 売上 × 100

仮に変動費率が25%の場合、売上100万円に対して変動費は25万円かかります。

損益分岐点の計算方法

損益分岐点売上高の公式

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1 − 変動費率)

計算例:

  • 固定費: 95万円
  • 変動費率: 25%
損益分岐点売上高 = 95万円 ÷ (1 − 0.25)
                = 95万円 ÷ 0.75
                = 約127万円

この場合、月間売上127万円が損益分岐点です。127万円を超えれば黒字、下回れば赤字になります。

損益分岐点客数の計算

売上から客数に変換してみましょう。

損益分岐点客数 = 損益分岐点売上高 ÷ 客単価

計算例:

  • 損益分岐点売上高: 127万円
  • 客単価: 8,000円
損益分岐点客数 = 127万円 ÷ 8,000円
             = 約159人/月

月間159人の来客が損益分岐点ということになります。

1日あたりの必要客数

さらに1日あたりに落とし込みます。

1日あたり必要客数 = 損益分岐点客数 ÷ 月間営業日数

計算例:

  • 損益分岐点客数: 159人
  • 月間営業日数: 25日
1日あたり必要客数 = 159人 ÷ 25日
                = 約6.4人/日

1日あたり6〜7人の来客が必要ということがわかります。

損益分岐点を下げる方法

固定費を下げる

固定費が下がれば、損益分岐点は下がります。

施策内容
家賃交渉更新時に交渉、移転検討
人件費の見直し適正人員、シフト最適化
広告費の見直し効果の低い広告の停止
固定契約の見直しリース、サブスクの整理

ただし、家賃や人件費は簡単には下げられないため、慎重に検討しましょう。

変動費率を下げる

変動費率が下がれば、損益分岐点は下がります。

施策内容
材料費の削減使用量の標準化、仕入先見直し
歩合率の見直し利益とのバランスを調整
広告費の見直し成果報酬型広告の効率化

変動費率を25%→20%に下げると:

損益分岐点売上高 = 95万円 ÷ (1 − 0.20)
                = 95万円 ÷ 0.80
                = 約119万円

127万円→119万円と、損益分岐点が8万円下がります。

客単価を上げる

客単価が上がれば、必要な客数が減ります。

客単価8,000円→10,000円の場合:

損益分岐点客数 = 127万円 ÷ 10,000円
             = 127人/月

159人→127人と、必要客数が32人減ります。

安全余裕率を確認する

安全余裕率とは

安全余裕率は、現在の売上が損益分岐点からどれだけ余裕があるかを示す指標です。

安全余裕率 = (実際売上 − 損益分岐点売上) ÷ 実際売上 × 100

計算例:

  • 実際売上: 180万円
  • 損益分岐点売上: 127万円
安全余裕率 = (180万円 − 127万円) ÷ 180万円 × 100
          = 53万円 ÷ 180万円 × 100
          = 約29%

安全余裕率の目安

安全余裕率状態
10%以下危険。少しの売上減で赤字
10〜20%注意。油断できない
20〜30%普通。ある程度の余裕あり
30%以上良好。安定経営

安全余裕率が低い場合は、売上増加か費用削減に取り組む必要があります。

目標利益から必要売上を計算する

目標利益達成売上の公式

損益分岐点は「利益ゼロ」の点ですが、実際には利益を出したいはずです。目標利益を達成するための売上を計算しましょう。

目標利益達成売上 = (固定費 + 目標利益) ÷ (1 − 変動費率)

計算例:

  • 固定費: 95万円
  • 目標利益: 30万円
  • 変動費率: 25%
目標利益達成売上 = (95万円 + 30万円) ÷ (1 − 0.25)
               = 125万円 ÷ 0.75
               = 約167万円

月間30万円の利益を出すには、167万円の売上が必要です。

客数への変換

必要客数 = 167万円 ÷ 8,000円 = 約209人/月
1日あたり = 209人 ÷ 25日 = 約8.4人/日

シミュレーションで経営判断

スタッフ採用の判断

スタッフを1人採用する場合、損益分岐点がどう変わるかシミュレーションしましょう。

採用前:

  • 固定費: 95万円
  • 変動費率: 25%
  • 損益分岐点: 127万円

採用後(固定費+25万円と仮定):

  • 固定費: 120万円
  • 変動費率: 25%
  • 損益分岐点: 160万円

採用によって損益分岐点が33万円上がります。新スタッフが33万円以上の売上を生み出せるか検討が必要です。

価格改定の判断

値上げした場合の影響をシミュレーションします。

現状:

  • 客単価: 8,000円
  • 客数: 200人/月
  • 売上: 160万円

値上げ後(客単価+500円、客数10%減少と仮定):

  • 客単価: 8,500円
  • 客数: 180人/月
  • 売上: 153万円

この場合は売上が減少してしまうため、客数減少を抑える施策が必要です。

移転の判断

家賃が安い物件への移転を検討する場合:

現状:

  • 家賃: 20万円
  • 固定費計: 95万円
  • 損益分岐点: 127万円

移転後(家賃-5万円と仮定):

  • 家賃: 15万円
  • 固定費計: 90万円
  • 損益分岐点: 120万円

損益分岐点が7万円下がります。ただし、移転による客数減少リスクも考慮が必要です。

損益分岐点を活用した経営管理

月次での確認

毎月、以下を確認しましょう。

項目確認内容
実際売上損益分岐点を超えているか
固定費想定通りか、増えていないか
変動費率想定通りか、上がっていないか
安全余裕率十分な余裕があるか

早期警告サイン

以下の兆候が見られたら、早めに対策を取りましょう。

兆候対策
売上が損益分岐点に近づいている集客強化、客単価アップ
固定費が増えている費用の見直し
変動費率が上がっている原価管理の徹底
安全余裕率が下がっている総合的な見直し

計画策定への活用

損益分岐点の考え方は、事業計画にも活用できます。

  • 来年度の売上目標設定
  • 新店舗の収支計画
  • 設備投資の判断
  • 価格改定の検討

まとめ

美容室の損益分岐点を把握するポイントは以下の3つです。

  1. 固定費の把握: 売上に関わらずかかる費用を正確に把握
  2. 変動費率の計算: 売上に比例する費用の割合を把握
  3. 売上・客数への変換: 損益分岐点を具体的な数字に落とし込む

損益分岐点を知ることで、「最低でもこれだけは売らないといけない」という基準が明確になります。安全余裕率を確保しながら、利益の出る経営を目指しましょう。

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